診療報酬の不正請求・詐欺事件の対応にお悩みの方へ

Home » 診療報酬の不正請求・詐欺事件の対応にお悩みの方へ

医療機関や整骨院、接骨院における診療報酬の不正請求や詐欺事件は後を絶ちません。これは、医療機関が診療報酬を過剰に請求する、もしくは実際には行っていない診療を行ったと偽る行為を指します。こうした不正行為が発覚すると、刑事罰や行政処分の対象となり、医療機関やその経営者にとって甚大な影響を及ぼします。

1 診療報酬の不正請求・詐欺とは?

診療報酬の不正請求とは、医療機関が実際には行っていない診療行為を行ったと偽り、診療報酬を過剰に請求する行為です。また、詐欺とは、他人を欺いて財物を騙し取る行為を指し、刑法第246条に基づき処罰されます。このような不正行為が発覚すると、医療機関は刑事罰や行政処分を受けることとなります。

2 診療報酬不正請求のケース

診療報酬の不正請求には、いくつかの典型的なケースがあります。その中でも代表的なものを以下に紹介します。

(1)損保会社から診療報酬を詐取するケース

損保会社から診療報酬を詐取するケースは、主に交通事故に関連しています。整形外科医や柔道整復師が患者と結託し、実際には通院していない日を通院したとカルテに記載して、損保会社に虚偽の診療報酬明細書を提出することがあります。このような行為は損保会社を被害者とする詐欺罪に該当し、刑事罰の対象となります。

ア 手口と影響

交通事故の被害者である患者は医師の共犯者と見なされます。医師が虚偽のカルテを作成し、通院日数を水増しして診療報酬を請求することで、損保会社から不正に報酬を得るのです。この行為は、損保会社に対する詐欺として刑事罰の対象となり、刑法第246条に基づき10年以下の懲役が科せられます。

イ 刑法第246条

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(2)保険診療の報酬を詐取するケース

保険診療においても不正請求が行われることがあります。医療機関が虚偽のレセプトを審査機関に提出し、診療報酬を詐取するケースです。この場合、審査機関や健康保険組合が被害者となります。

ア 手口と影響

医療機関が虚偽のレセプトを提出し、診療報酬を不正に得ることで、審査機関や保険者に損害を与えます。このような行為は詐欺罪として刑事罰の対象となり、刑法第246条に基づき処罰されます。また、厚生労働省から保険医の登録取消しや業務停止、免許取り消しといった行政処分を受ける可能性があります。

3 診療報酬の不正請求をした場合の法的責任

診療報酬の不正請求が発覚すると、以下のような法的責任を負うことになります。

(1)刑事罰

診療報酬の不正請求は詐欺罪として扱われ、最大で10年以下の懲役刑が科せられます。また、詐取していた期間や金額に応じて、即時に実刑判決が下されることもあります。

(2)行政処分

医師や柔道整復師が診療報酬の不正請求を行った場合、厚生労働省から保険医の登録取消しや業務停止、免許取り消しといった行政処分を受ける可能性があります。具体的には、健康保険法第81条や医師法第4条、7条、柔道整復師法第4条、8条に基づき処分が行われます。

ア 健康保険法第81条

(保険医又は保険薬剤師の登録の取消し)
第八十一条 厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消すことができる。
 保険医又は保険薬剤師が、第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
 保険医又は保険薬剤師が、第七十八条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、第七十八条第一項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
 この法律以外の医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律による診療又は調剤に関し、前二号のいずれかに相当する事由があったとき。
 保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
 保険医又は保険薬剤師が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
 前各号に掲げる場合のほか、保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

イ 医師法第7条

第七条 医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
 戒告
 三年以内の医業の停止
 免許の取消し

ウ 柔道整復師法第8条

(免許の取消し等)
第八条 柔道整復師が、第四条各号のいずれかに該当するに至つたときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めてその業務の停止を命ずることができる。
 前項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えることが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。

4 診療報酬の不正請求において弁護士に相談するメリット

不正請求が発覚した際に弁護士に相談することには多くのメリットがあります。

(1)専門的な対応

弁護士は法律の専門家であり、診療報酬の不正請求に関する法的問題を迅速かつ適切に対応できます。警察や検察への対応もスムーズに行い、身柄拘束を避ける可能性が高まります。

(2)示談交渉

弁護士は保険会社や被害者との示談交渉を代行します。適切な賠償金額を提示し、被害弁償を行うことで刑事事件化を回避することが期待できます。

(3)生活の安定

不正請求の発覚によるストレスから解放され、通常の生活を続けることが可能となります。弁護士が全ての対応を行うため、安心して日常生活を送ることができます。

5 不正請求事案に対応する流れ

診療報酬の不正請求が発覚した場合の対応手順は以下の通りです。

(1)お問い合わせ

受付担当スタッフが状況をヒアリングし、面談の日程を調整します。

(2)弁護士との面談・ご契約

弁護士との面談を通じて、見通しや方針、弁護士費用について説明します。弁護方針や弁護士費用等にご納得いただきましたら契約書を交わします。

(3)保険会社または代理人弁護士との交渉

弁護士が保険会社や代理人弁護士と交渉し、事情を説明し、告訴を防ぐための適切な交渉を行います。

(4)書面の提出など

必要な資料を収集し、保険会社に対して謝罪や弁明の書面を提出します。場合によっては、保険会社やその代理人弁護士と直接面会するなどして対応します。

(5)警察や検察官への対応

万が一、告訴された場合でも、弁護士が迅速に対応し、逮捕や勾留を避けるための活動を行います。また、不起訴に向けた弁護活動も早期に開始します。

6 まとめ

診療報酬の不正請求や詐欺事件は、医療機関にとって重大な問題です。適切な対応を取らなければ、刑事罰や行政処分を受けるリスクが高まります。こうした事態に備え、早期に弁護士に相談することが重要です。弁護士の専門知識と経験を活用することで、迅速かつ適切な解決が可能となり、医療機関の経営を守ることができます。

お困りの際は、専門の弁護士にご相談ください。初回相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、診療報酬の不正請求に関する問題に対して専門的なサポートを提供しております。ご相談は全国対応で、初回相談は無料ですので、安心してご相談ください。

初回相談60分無料|ご相談はお気軽に

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ