【死亡事故】加害者が直面する現実。遺族対応と刑事裁判、実刑回避への道

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はじめに

死亡事故を起こした場合、加害者が負う責任は重大です。警察による逮捕・勾留の可能性が高く、その後の刑事裁判では「拘禁刑(実刑)」が求刑されるケースも少なくありません。

多くの方が誤解されていますが、「任意保険に入っているから、遺族への対応は全て保険会社に任せればよい」という考えは、刑事事件においては通用しません。 保険会社は金銭的な補償を行う機関であり、あなたの反省の意を伝えたり、刑を軽くするための弁護活動を行ったりする機関ではないからです。

一刻も早い適切な対応が、あなたの残りの人生を左右します。まずは現状を正しく理解することから始めましょう。

死亡事故に関するQ&A

死亡事故の加害者、またはそのご家族から寄せられる切実な疑問にお答えします。

Q1. 死亡事故を起こすと、必ず刑務所に入らなければなりませんか?

必ずではありませんが、その可能性は十分にあります。

死亡事故(過失運転致死罪)の場合、初犯であっても「実刑判決(刑務所への収監)」となる可能性があります。ただし、遺族との示談が成立しているか、深い反省があるか、遺族の処罰感情などの事情によっては、「執行猶予(刑務所に行かずに社会で生活する)」判決を得られるケースもあります。

Q2. 遺族に謝罪に行きたいのですが、警察に止められています。どうすればいいですか?

独断での行動は避け、弁護士を通じて申し入れを行ってください。

事故直後の遺族感情は峻烈です。直接の謝罪が、かえって遺族の感情を逆なでし、トラブルになることもあります。また、捜査機関が「証拠隠滅(遺族への働きかけ)」を疑うこともあります。弁護士が間に入り、適切な時期と方法を模索するのが最善です。

Q3. 今後、どのような流れで手続きが進みますか?

逮捕・勾留を経て、起訴されれば公開の法廷で裁判が行われます。

略式裁判(罰金)で済む軽微な事故とは異なり、死亡事故は原則として「公判請求(正式裁判)」されます。法廷では、検察官だけでなく、遺族の方々とも向き合うことになります。

詳細解説1:死亡事故における刑事手続きの流れ

死亡事故発生後、事態は非常にスピーディーに展開します。ここでは、逮捕から裁判までの流れを解説します。

1. 逮捕と勾留(身柄の拘束)

死亡事故の場合、逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断され、その場で現行犯逮捕されるケースが多くあります。

逮捕されると、最大で72時間、その後「勾留」が決定されるとさらに10日間(延長されれば最大20日間)、警察署の留置場に身柄を拘束されます。この間、会社や学校へ行くことはできず、家族との面会も制限されることがあります。

2. 起訴と公判(裁判の開始)

捜査が終了すると、検察官が「起訴」するかどうかを決定します。

死亡事故の場合、被害の結果が重大であるため、「公判請求(正式な裁判にかけること)」される可能性が極めて高いです。日本の刑事裁判では、起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、無罪を争う特別な事情がない限り、争点は「量刑(刑の重さ)」に絞られます。

3. 被害者参加制度

死亡事故の裁判における最大の特徴は、「被害者参加制度」です。

ご遺族が検察官の横に座り、裁判に参加します。ご遺族は、被告人(あなた)に対して直接質問をしたり、求刑に関する意見(「一生刑務所から出さないでほしい」等)を述べたりすることができます。

被告人にとっては、ご遺族の悲しみと怒りを直接受け止める、精神的に非常に重い場となります。

詳細解説2:遺族対応と示談の重要性

刑事裁判において、判決(実刑か執行猶予か)を分ける最大の要因は、「遺族対応」です。

1. 「保険会社の示談」と「刑事の示談」の違い

ここが最も重要なポイントです。

  • 民事示談(保険会社): 交通事故の損害賠償基準に基づき、賠償金の額を決める話し合い。
  • 刑事弁護としての示談(弁護士): 加害者の謝罪の意思を伝え、許しを請う活動。

保険会社は「お金」の話はできますが、「加害者の減刑のための嘆願」を求めることはできません。

裁判官は、「保険金が支払われるのは当たり前」と考えます。その上で、「加害者が誠心誠意謝罪し、遺族がそれを受け入れたか(宥恕・ゆうじょ)」を重視します。この「心のケア」を含む示談交渉は、弁護士にしかできません。

2. 謝罪のタイミングと方法

ご遺族の悲しみは深く、事故直後は謝罪を受け入れてもらえないことがほとんどです。

しかし、何もしなければ「反省していない」とみなされます。

弁護士は、手紙による謝罪の申し入れや、供花・香典の送付など、ご遺族の心情に最大限配慮しながら、慎重にアプローチを重ねます。このプロセス自体が、法廷において「誠実な対応を尽くした」という証拠となります。

弁護士に依頼するメリット

死亡事故の加害者となった場合、弁護士のサポートは不可欠と言えます。その理由は以下の通りです。

メリット1:執行猶予判決(実刑回避)を目指す

死亡事故であっても、全てのケースで刑務所に行くわけではありません。

  • 遺族への十分な被害弁償と謝罪
  • 深い反省と再発防止策(免許の返納や車の売却など)
  • 家族による監督体制の構築

弁護士は、これらの有利な事情(情状)を証拠化し、裁判官に対して「社会内での更生の機会を与えるべきだ」と強く主張します。これにより、執行猶予判決を獲得できる可能性が高まります。

メリット2:早期の身柄解放(保釈)

逮捕・勾留が続くと、社会復帰が困難になります。弁護士は、起訴後速やかに「保釈請求」を行います。

保釈が認められれば、裁判までの間、自宅に戻って生活することができます。これにより、家族と過ごしながら裁判の準備をしたり、ご遺族への謝罪の準備を整えたりすることが可能になります。

メリット3:精神的な支柱と家族へのサポート

「人を殺めてしまった」という罪悪感で、自暴自棄になる加害者の方も少なくありません。

弁護士は、法的な弁護人であると同時に、精神的な支えともなります。また、動揺するご家族に対しても、今後の見通しを説明し、どのように本人を支えるべきか(情状証人としての出廷など)をアドバイスします。

まとめ

死亡事故は、被害者、遺族、そして加害者とその家族、関わる全ての人々の人生を変えてしまいます。

亡くなられた方の命は戻りませんが、あなたが罪と向き合い、誠実に償うことで、開ける未来はあります。

今回のポイント

  • 責任の重さ: 死亡事故は実刑判決のリスクが高い重大犯罪である。
  • 保険の限界: 保険会社は賠償金(民事)しか扱えず、減刑のための活動(刑事)はできない。
  • 遺族対応: 判決に最も影響するのは「遺族の感情」。慎重かつ誠実な対応が不可欠。
  • 弁護士の役割: 執行猶予の獲得、保釈の実現、そして遺族との架け橋となる。

次のステップ

死亡事故を起こしてしまった場合、時間は待ってくれません。

警察の捜査が進み、供述調書が作成されてしまう前に、あるいは起訴が決まってしまう前に、直ちに弁護士法人長瀬総合法律事務所へご連絡ください。

当事務所には、死亡事故を含む重大な交通事案を解決に導いてきた豊富な実績があります。

ご本人が逮捕されている場合は、ご家族からの相談も受け付けています。「まず何をすべきか」、その第一歩を私たちと一緒に踏み出しましょう。

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