【交通事故】物損から人身事故への切り替えとは?罰金・点数への影響と対策

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はじめに

交通事故における「物損」と「人身」の差は、天と地ほどあります。

物損事故であれば、基本的には車の修理費などを支払えば解決し、警察の点数も引かれず、罰金も科されません(※飲酒運転などの危険運転を除く)。

しかし、ひとたび「人身事故」となれば、状況は一変します。あなたは「過失運転致死傷罪」などの被疑者となり、免許停止の危機や、数十万円単位の罰金、最悪の場合は拘禁刑のリスクに晒されることになります。

「軽くぶつかっただけなのに」「相手も納得していたのに」と思っていても、法律の手続きは冷徹に進みます。この記事で今後の流れを正しく理解し、自分の身を守るための準備を始めましょう。

事故の切り替えに関するQ&A

物損から人身への切り替えに際して、よくある疑問にお答えします。

Q1. 相手が後から「怪我が痛い」と言い出しました。拒否できますか?

基本的に拒否できません。

被害者が医師の診断書を警察に提出し、警察がそれを受理すれば、事故の当事者の意思に関わらず、捜査機関は「人身事故」として捜査を開始する義務があります。あなたに「怪我をさせた認識がない」としても、診断書という客観的な証拠が優先されるのが通常です。

Q2. 人身事故になると、必ず「罰金」を払うのですか?

必ずではありませんが、可能性は高まります。

怪我の程度が軽く(全治1週間程度など)、相手方と早期に示談が成立していれば、「不起訴(お咎めなし)」となり、罰金が発生しないこともあります。しかし、対応を誤れば数十万円の罰金(略式命令)が科されるケースも一般的です。

Q3. 「点数」はどうなりますか?免停になりますか?

基礎点数に加え、怪我の程度に応じた付加点数が加算されます。

物損事故では点数は加算されませんが、人身事故になると「安全運転義務違反(2点)」に加え、「付加点数(怪我の程度と過失割合による)」が足されます。これらが累積し、過去の違反歴と合わせて基準を超えれば、免許停止や取り消しの処分を受けます。

詳細解説1:物損と人身の決定的な違い

まず、物損事故と人身事故で、加害者が負う「3つの責任」がどう変わるのかを整理しましょう。ここを理解することが重要です。

1. 責任の比較表

責任の種類内容物損事故の場合人身事故の場合
1. 民事責任被害者への損害賠償車の修理費など+治療費、慰謝料、休業損害
2. 行政責任免許の点数・処分原則なし違反点数加算、免停・取消の可能性
3. 刑事責任刑罰(罰金・拘禁刑)原則なし過失運転致死傷罪など(罰金・拘禁刑)

このように、物損のままなら「民事(お金)」だけの問題で済みますが、人身に切り替わると「行政(免許)」と「刑事(前科・刑罰)」の責任がのしかかってきます。

2. 「切り替え」の手続きと流れ

被害者が診断書を警察へ提出すると、警察署の交通課からあなたに呼び出しがかかります。

そこでは「実況見分(じっきょうけんぶん)」が再度行われます。

  • 再度の現場検証: 事故現場に立ち会い、警察官に対して「どこでブレーキをかけたか」「相手はどこにいたか」などを説明します。
  • 供述調書の作成: 事故の状況や認識について、取調室で詳細に聞かれます。

この時作成される「実況見分調書」や「供述調書」は、後に検察官が「あなたを起訴するかどうか」「どれくらいの罰金にするか」を決めるための重要な証拠となります。

詳細解説2:点数と罰金の目安

具体的に、どのくらいの点数が引かれ、どのくらいの罰金になるのでしょうか。

1. 行政処分(点数)の仕組み

人身事故の点数は、以下の計算式で決まります。

合計点数 =基礎点数 + 付加点数

  • 基礎点数: 事故の原因となった違反の点数。一般的には「安全運転義務違反」の2点が多いです。
  • 付加点数: 被害者の怪我の程度と、あなたの不注意の度合い(専ら責任があるか、相手にも過失があるか)で決まります。

【付加点数の目安(責任が重い場合)】

  • 治療期間15日未満(軽傷):3点
  • 治療期間15日以上30日未満:6点(一発で免停の可能性大)
  • 治療期間30日以上3ヶ月未満:9点
  • 治療期間3ヶ月以上(重傷):13点

例えば、追突事故(責任大)で相手が「全治2週間のむちうち(14日)」だった場合、基礎点数2点+付加点数3点=合計5点となります。前歴がなければ免停は免れますが、ギリギリの状態です。もし治療が15日を超えれば合計8点となり、30日間の免許停止となります。

2. 刑事処分(罰金)の相場

人身事故で適用される主な罪は「過失運転致死傷罪」です。

法定刑は「7年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金」です。

実際の運用(相場)としては、初犯で軽傷事故の場合、30万円〜50万円程度の罰金となるケースが多く見られます。

「罰金」といっても、交通違反の反則金(青切符)とは異なり、立派な「前科」となります。医師、看護師、教員、公務員などの資格職の方にとっては、職務規程に関わる重大な問題となり得ます。

弁護士に依頼するメリット

「人身事故への切り替えは避けられない」としても、その後の「処分」を軽くすることは可能です。ここで弁護士の力が発揮されます。

メリット1:不起訴処分(前科回避)の獲得

検察官は、起訴するかどうかを決める際、「被害者との示談が成立しているか」を最も重視します。

弁護士が早期に介入し、民事上の賠償交渉とは別に、刑事処分を軽くするための「宥恕(ゆうじょ)条項付き示談(加害者を許すという合意)」を被害者と結ぶことができれば、起訴を免れ、前科がつかない可能性が高まります。

メリット2:不当な捜査への対応

切り替え後の実況見分や取り調べで、警察官が予断を持って接してくることがあります。

「あなたがスピードを出しすぎていたんだろう?」などと誘導され、言われるがままに認めてしまうと、事実よりも重い責任(重い点数・重い罰金)を負わされることになります。

弁護士は、実況見分への立ち会いや、取り調べでの受け答え(黙秘権の活用など)をアドバイスし、不当な調書が作られないよう防御します。

メリット3:免許を守るための意見陳述

行政処分(免停など)が決まる際、「意見の聴取」という手続きが行われることがあります。

ここで弁護士が補佐人として同行し、事故の経緯や反省の情、免許の必要性(仕事で不可欠など)を法的に主張することで、処分の期間短縮などが認められるケースがあります。

まとめ

物損事故から人身事故への切り替えは、あなたの社会的立場を脅かす重大な変化です。「保険会社に任せているから」と油断していると、ある日突然、裁判所から高額な罰金の納付命令が届くことになりかねません。

今回のポイント

  • 切り替えの意味: 民事だけでなく、刑事(罰金・前科)と行政(免停)のリスクが発生する。
  • 点数の仕組み: 「基礎点数」+「怪我による付加点数」で計算され、免停のリスクが高まる。
  • 罰金の相場: 略式起訴されれば、30万〜50万円程度の罰金(前科)となることが多い。
  • 対策: 早期に弁護士を通じて被害者と示談し、「不起訴処分」を目指すことが最善の道。

次のステップ

「警察から再度の呼び出しが来た」
「被害者の怪我の具合が分からず不安だ」
「絶対に前科をつけたくない」

このようにお考えの方は、警察の取り調べを受ける前に、弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。

当事務所では、刑事事件・交通事件の経験豊富な弁護士が、切り替え後の手続きにどう対応すべきか、具体的にアドバイスいたします。あなたの免許と生活を守るために、私たちが全力を尽くします。

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