痴漢冤罪で捕まったらどうする?無実を証明するためのガイド

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はじめに

「私は、やっていない!」

心の中ではそう叫んでいても、満員電車の中で被害を訴える人の震える声と、周囲からの疑惑の眼差しの中で、あなたの声は誰にも届かない…。痴漢事件は、明確な物証が乏しく、「被害者の供述」が決定的な証拠となりやすいため、冤罪(えんざい)が起こりやすい犯罪類型の典型例として知られています。

もし、あなたが痴漢の犯人だと濡れ衣を着せられ、その場で誤った対応をしてしまえば、無実であるにもかかわらず有罪判決を受け、人生に「前科」という拭い去れない汚点を刻まれてしまう可能性があります。失われるのは、職や社会的信用、そして大切な家族との平穏な日々です。

この記事では、万が一、あなたが痴漢冤罪という悪夢に巻き込まれてしまった場合に、どう行動し、どうやって自らの無実を証明していくべきか、そのための具体的な防御策と戦い方を解説します。

Q&A

Q1. やっていないのですから、警察で正直に、誠実に話をすれば、いつかは信じてもらえますよね?

その考えは危険です。警察は、あなたを「犯人である」という前提(被疑者)で取り調べを行います。あなたの話に耳を傾けるふりをしながら、供述の些細な矛盾点や曖昧な部分を突き、巧みに誘導して、あたかも罪を認めたかのような供述調書を作り上げようとします。警察は、あなたの味方ではありません。 やっていないのであれば、安易に供述するのではなく、「弁護士が来るまで一切話しません」と黙秘権を毅然と行使することが、あなたを守るための重要な防御策です。

Q2. 無実なのに、弁護士から「示談した方が早く解決する」と勧められることはありますか?応じるべきですか?

ありえないことであり、また応じるべきではありません。 無実であるにもかかわらず示談をするということは、やっていない罪を自ら認めることに他なりません。それは「解決」ではありません。

Q3. 痴漢冤罪を晴らすには、どのくらいの時間がかかりますか?費用も心配です。

残念ながら、痴漢冤罪を証明する戦いは、長期戦になることが少なくありません。捜査段階で不起訴になれば数ヶ月で終わることもありますが、起訴されて裁判で無罪を争うことになれば、判決まで1年以上かかることも珍しくありません。身体拘束が続けば、その間の精神的・経済的負担は計り知れません。だからこそ、捜査の初期段階でいかに早く身柄を解放させ、的確な証拠収集を行えるかが重要になります。費用についても、長期化すればそれだけ高額になる可能性がありますが、あなたの人生を取り戻すための、必要な費用とお考えください。

解説

無実の罪から人生を守るための戦い。その具体的なステップと戦略を解説します。

ステージ1:事件発生直後 ~ 逮捕【絶対に守るべき鉄則】

始まりは、痴漢を疑われたその瞬間です。ここでの対応が、その後の運命を決定づけます。

  • 鉄則①:絶対に罪を認めない、謝らない
    パニックや恐怖から、「すみません」「当たったかもしれません」といった言葉を発してはいけません。前述の通り、これは「自白」と見なされます。たとえ相手が興奮していても、冷静に、しかし断固として「私はやっていません」と伝え続けてください。
  • 鉄則②:「弁護士を呼びます」と宣言する
    「弁護士が来るまで、これ以上お話しすることはありません。」この一言が、あなたを守る盾となります。すぐにスマートフォンを取り出し、刑事事件、特に痴漢冤罪の弁護経験が豊富な弁護士を探し、電話をかけてください。
  • 鉄則③:その場から逃げない
    逃走は「犯人だから逃げた」と判断されるだけです。たとえ身の危険を感じても、その場に留まり、弁護士の到着を待つか、警察の到着を待ってください。

ステージ2:捜査段階【無実を証明する証拠を集める】

逮捕されてしまった場合、弁護士は直ちに以下の活動を開始し、不起訴処分による早期解決を目指します。

① 勾留の阻止

弁護士は、逮捕直後からあなたと接見し、取り調べへの対応を徹底させるとともに、検察官や裁判官に対し、「客観的証拠がなく、逃亡や証拠隠滅のおそれもない」として、勾留請求しないよう、あるいは勾留請求を却下するよう、働きかけます。身体拘束からの早期解放は、その後の戦いのために重要です。

② 客観的証拠の収集と分析

痴漢冤罪の弁護活動は、まさに「探偵」のような地道な証拠収集活動です。

  • 防犯カメラ映像の徹底的な精査
    駅や車両内のあらゆる防犯カメラ映像を入手・分析し、あなたの手の動きをコマ送りで確認します。手がカバンやスマホ、つり革にあったことを証明できれば、それが無実の鉄証となります。
  • 携帯電話の解析
    犯行時刻とされた時間帯に、あなたがウェブサイトを閲覧していた履歴、メールやLINEの送受信履歴、ゲームのプレイ履歴などがあれば、それも「痴漢行為は物理的に不可能だった」ことを示す証拠となります。
  • 被害者や目撃者の供述の矛盾点の洗い出し
    弁護士は、捜査で得られた供述調書を精査し、「最初に言っていたことと話が変わっている」「客観的な状況(電車の揺れなど)と矛盾している」といった、供述の信用性を揺るがす矛盾点を探し出します。

ステージ3:刑事裁判【法廷で無罪を勝ち取る】

残念ながら検察官が起訴に踏み切った場合、戦いの舞台は法廷に移ります。法廷に移行した後も、弁護活動は重要です。痴漢冤罪事件は、裁判官も慎重に審理する傾向にあり、無罪判決の可能性はあります。

  • 証拠に基づく的確な主張
    捜査段階で収集した、あなたに有利な客観的証拠(防犯カメラ映像など)を、法廷で裁判官に示します。
  • 反対尋問による、被害者供述の切り崩し
    弁護士が、法廷で被害者や目撃者に対し、直接質問(反対尋問)を行います。供述の曖昧な点や矛盾点を鋭く追及し、裁判官に「この人の証言だけでは、有罪とは断定できない」という心証を抱かせます。
  • 被告人質問での主張
    最後に、あなたが被告人として、自らの言葉で、潔白であること、事件当日の具体的な状況を、自信を持って堂々と述べます。

裁判官が、検察官の挙げる証拠に対し、「合理的な疑いを差し挟む余地がある」と判断すれば、あなたに「無罪」判決が言い渡されます。

痴漢冤罪に巻き込まれた際の弁護士の必要性

無実のあなたが、たった一人で国家権力である警察・検察と戦うことは非常に困難です。痴漢冤罪の戦いにおいて、弁護士は以下のような、あなたにとってパートナーとなります。

  • 「精神的支柱」
    逮捕され、社会から隔離され、「犯罪者」として扱われる中、誰もがあなたを疑いの目で見ます。そんな絶望的な状況で、あなたの無実を信じ、最後まで共に戦ってくれる弁護士の存在は、何物にも代えがたい精神的な支えとなります。
  • 専門家としての「証拠分析能力」と「法廷技術」
    防犯カメラのわずかな光の反射から手の位置を特定したり、被害者供述の心理的な矛盾を指摘したりといった専門的な分析や、証人の嘘や誇張を指摘する反対尋問の技術は、痴漢冤罪事件の経験を積んだ弁護士でなければ持ち得ません。
  • 警察・検察と渡り合う「交渉力」
    弁護士は、法律の専門家として、捜査機関に対して不当な取り調べの中止を求めたり、有利な証拠の開示を要求したりと、対等な立場で交渉することができます。あなたの権利が不当に侵害されるのを防ぎます。
  • 「社会復帰サポート」
    冤罪によって失われた名誉を回復し、不当な解雇などの不利益を被った場合には、その回復のための法的措置もサポートします。

まとめ

痴漢冤罪は、誰の身にも突然降りかかる可能性のある、恐ろしい災厄です。もし、あなたがその悪夢に巻き込まれてしまったら、覚えておいてください。あなたの運命は、事件直後のあなたの行動にかかっています。

「絶対に罪を認めない。安易に謝らない。そして、一秒でも早く、痴漢冤罪を戦い抜く覚悟と経験のある弁護士を呼ぶこと。」

無実を証明する道は、長く、険しく、孤独な戦いです。しかし、正しい知識を持ち、信頼できるパートナーと共に、諦めずに戦い続ければ、必ずや暗闇を抜け出し、潔白を証明できる日が来ます。

もしあなたが、やっていない痴漢の罪で苦しんでいるのなら、どうか一人で抱え込まないでください。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、あなたと共に戦うことをお約束します。

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