痴漢を疑われたら?やってはいけない3つのことと、すぐに弁護士に相談すべき理由

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はじめに

「痴漢です!」

満員電車の中、突然、腕を掴まれて、鋭い声でそう叫ばれる…。想像するだけで、血の気が引くようなシチュエーションです。頭が真っ白になり、心臓が激しく波打ち、冷静な対応などできるはずもありません。

しかし、痴漢を疑われたまさにその瞬間、あなたがどのような行動をとるか、その初動対応が、あなたのその後の人生を天国と地獄に分けるといっても過言ではないのです。

やっていないのに恐怖から罪を認めてしまったり、逆にパニックでその場から走り去ってしまったり…。これらの誤った行動は、あなたを「痴漢の犯人」へと追い込み、取り返しのつかない事態を招きます。

この記事では、万が一、痴漢を疑われるという最悪の事態に直面した時に、「絶対にやってはいけない3つのこと」と、あなた自身を守るために「すぐに、そして必ずすべきこと」を具体的に解説します。

Q&A

Q1. やってもいないのに、疑われました。その場で無実を大声で主張すべきですか?

無実を主張する意思を持つことは重要ですが、感情的に「やってない!」と叫ぶだけでは、かえって周囲に「逆上している」「怪しい」という印象を与え、事態を悪化させる可能性があります。駅員室などに連れて行かれた場合、興奮して大声を出すのではなく、冷静に、かつ、明確に「私はやっていません」と伝えることが重要です。そして、それ以上に重要なのは、「弁護士が来るまで、これ以上は話しません」と伝え、安易な供述を避けることです。

Q2. とりあえずその場を収めるために、「すみません」と謝ってしまうのはダメなのでしょうか?

一般的に、事を荒立てないために、非がなくても反射的に「すみません」と言ってしまう傾向がありますが、痴漢を疑われた場面での「すみません」は、痴漢行為を認めた(自白した)と解釈される、リスクのある言葉です。その場を穏便に済ませたいという気持ちは痛いほど分かりますが、その一言が、あなたを犯罪者にしてしまう可能性があることを、肝に銘じてください。

Q3. 弁護士を呼ぶまで、本当に何も話さなくてもいいのでしょうか?名前や住所も言わない方がいいですか?

法律上、事件に関する供述は一切拒否できます(黙秘権)。氏名や住所などの人定事項についても、供述義務はありません。しかし、氏名すら名乗らない頑なな態度は、警察に「身元が不明で逃亡のおそれがある」と判断され、逮捕・勾留の理由を与えてしまうリスクもあります。実務的には、氏名や連絡先など、身元を証明することは伝えた上で、「事件の内容については、弁護士と相談してからお話しします」と、毅然とした態度で伝えるのが、賢明な対応と言えるでしょう。

解説

痴漢を疑われたその瞬間。あなたの未来を守るための行動規範を、具体的に見ていきましょう。

原則:その場を離れず、冷静さを保ち、すぐに弁護士を呼ぶ

まず、何よりも守るべき原則は、「逃げない」ことです。痴漢を疑われ、恐怖やパニックに襲われると、衝動的にその場から走り去ってしまいたいという気持ちに駆られるかもしれません。しかし、これはリスクのある対応です。

たとえあなたが無実であったとしても、「逃げた」という事実は、「やましいことがあるから逃げたに違いない」という強力な状況証拠となり、後日、逮捕される可能性を高めます。逃走は、無実の罪を自ら招き寄せる、リスクの高い行為です。

痴漢を疑われたら、やってはいけない3つのこと

パニック状態の中で、良かれと思って取った行動が、あなたを窮地に陥れます。以下の3つの行動は、絶対に避けてください。

① その場で示談しようとする

「お金を払いますから、これで許してください」

その場を早く収めたい一心で、財布を取り出し、現金を渡して解決しようとする。これは最悪の対応の一つです。この行為は、痴漢行為を認めた上で、口止め料を払おうとしたと解釈されます。後から「やっていない」と主張しても、この事実が覆ることはありません。

また、周囲の目がある中で冷静な話し合いは不可能ですし、後から「脅されて無理やりお金を取られた」と、恐喝の疑いをかけられるといった、さらなるトラブルに発展するリスクすらあります。示談交渉は、必ず後から、弁護士を通じて冷静に行うべき手続きです。

② 安易に謝罪する・念書にサインする

Q2でも触れましたが、「すみません」「ごめんなさい」といった謝罪の言葉は、痴漢行為を認めたと受け取られます。たとえ、相手にぶつかってしまったことへの謝罪のつもりでも、痴漢の文脈で発せられた謝罪は、痴漢の自白と見なされます。

また、駅員室や警察署で、「痴漢をしたことを認めます」といった内容の念書や始末書への署名を求められても、絶対にサインしてはいけません。これらは、後の裁判で、あなたの有罪を裏付ける決定的な証拠となります。

③ 感情的に抵抗し、暴れる

無実を主張したい気持ちが昂り、腕を振りほどいたり、大声で相手を罵倒したり、駅員に掴みかかったりする行為も禁物です。痴漢の疑いに加え、暴行罪や公務執行妨害罪といった、別の犯罪容疑までかけられてしまう可能性があります。状況は悪化の一途をたどるだけです。冷静さを失わず、毅然と、しかし紳士的に振る舞うことが重要です。

あなたを守る!痴漢を疑われた瞬間に「すべきこと」

では、具体的にどう行動すればよいのでしょうか。あなたを守るための正しい行動は以下の通りです。

「弁護士を呼びます」と明確に宣言する

これが、あなたが発すべき、最も重要で効果的な一言です。「弁護士が来るまで、事件のことは一切話しません」と、周囲に聞こえるようにはっきりと伝えましょう。弁護士を呼ぶことは、憲法で保障されたあなたの正当な権利です。この一言を言うことで、捜査機関側も、強引な取り調べや不当な自白の強要をしにくくなります。

すぐに弁護士に電話する

宣言したら、すぐにスマートフォンで弁護士事務所に電話をかけましょう。あらかじめ、刑事事件に強い弁護士事務所の連絡先を登録しておくのが理想ですが、それが無理でも、その場で「刑事事件 弁護士 すぐ」などと検索して電話をかけてください。電話がつながれば、状況を簡潔に伝え、すぐに来てもらうよう依頼します。

状況を客観的に記録する

もし警察署に連行されてしまったら、記憶が新しいうちに、できるだけ詳細に状況を思い出してメモなどに書き留めておきましょう。

  • 何月何日何時何分ごろ、どの電車のどの車両に乗っていたか
  • 車両のどの位置(ドア付近、座席前など)に立っていたか
  • 自分の両手はどこにあったか(つり革、スマホ、カバンなど)
  • 周囲の混雑具合はどうだったか

これらの客観的な記録は、後に弁護士が無実を主張する際の、きわめて重要な資料となります。

なぜ、すぐに弁護士に相談すべきなのか?

痴漢を疑われた直後に弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  • あなたに代わる「冷静な頭脳」となる
    パニックに陥っているあなたに代わり、弁護士が法的な観点から状況を冷静に分析します。そして、「今回は潔く認めて早期の示談を目指すべきか」「無実を貫き、徹底的に争うべきか」といった、事件の根本的な方針を、証拠の見通しに基づいて的確にアドバイスします。
  • 不当な取り調べからの防波堤となる
    弁護士は、すぐに接見に駆けつけ、取り調べに対する具体的な防御策を授けます。「黙秘権」の正しい使い方や、警察官の誘導尋問に乗らない方法、そして絶対に不利な供述調書にサインしないことなどを徹底します。弁護士の存在そのものが、不当な捜査に対する強力な抑止力となります。
  • 無実を証明するための活動を開始する(否認事件の場合)
    あなたが「やっていない」のであれば、弁護士は無実を証明するための活動を直ちに開始します。駅や車両内の防犯カメラ映像の保全を警察に要求したり、目撃者を探したりと、時間が経つと失われてしまう可能性のある、あなたに有利な証拠を確保するために動きます。
  • 早期解決に向けた示談交渉を開始する(自白事件の場合)
    もし、痴漢行為が事実なのであれば、一刻も早く被害者の方と示談を成立させることが、不起訴処分を勝ち取るための最善策です。弁護士は、直ちに示談交渉に着手し、早期の身柄解放と事件の円満な解決を目指します。

まとめ

痴漢を疑われたその瞬間の初期対応が、あなたの未来を大きく変えてしまいます。「逃げる・その場で示談・安易に謝罪」は、自らを有罪へと追い込むリスクがあります。

あなたと、あなたの家族の未来を守るために、その場で冷静に「弁護士を呼びます」と宣言し、直ちに刑事事件に強い弁護士に電話をすることが重要です。

自分一人で判断し、行動することは、高いリスクがあります。痴漢という濡れ衣を着せられそうになったら、あるいは過ちを犯してしまったら、躊躇せず、すぐに弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。私たちが、あなたの権利と日常を守るため、迅速にサポートします。

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