【暴力犯罪】
業務妨害罪
【罪名】
偽計業務妨害罪(刑法233条)
威力業務妨害罪(刑法234条)
電子計算機損壊等業務妨害(刑法234条の2)
【量刑】
偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪:
三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金
電子計算機損壊等業務妨害:
五年以下の懲役又は百万円以下の罰金
【犯罪の内容】
偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害することを内容とします。無形的な方法で行われるものがこの類型です。嘘の噂を流す、他人の名を騙って注文を行う、インターネットへ虚偽の犯罪予告をするなどの行為がこれに当たります。
威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害することを内容とします。威力とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことです。違法デモや街宣行為などが典型です。
威力と偽計の区別については多説ありますが、法定刑に違いはありません。公然と相手に妨害することを誇示する態様の行為は威力とされやすいです。
業務妨害罪は「営業妨害罪」などと間違って呼ばれることがありますが、他人の営業を妨害する行為は業務妨害罪にあたります。
電子計算機損壊等業務妨害罪は、電子計算機(コンピューター)を損壊等させ、電子計算機に使用目的に沿わない動作をさせて、人の業務を妨害することを内容とします。
コンピューター犯罪に対応するために平成23年に新設されました。コンピューターに予想外の動作をさせることが要件であるため、単純なインターネットの利用による業務妨害行為は本罪にあたりません。ハッキングやウイルスを仕込むなどの行為がこれにあたります。
これらの行為は重大かつ広範な被害が生じることが予想されるため、法定刑が通常より加重されています。
【弁護方針】
古くは労働運動などによる威力業務妨害罪の態様が多かったのですが、近年はネット等を通した学校、企業などに対する犯罪予告による偽計業務妨害罪が増えてきました。
相手がある犯罪ですので示談締結が効果的です。
しかし業務妨害罪は業務を保護する犯罪規定ですので、被害者が法人であることが多くあります。法人に対する示談交渉は、一般的に個人に対するそれに比べ容易ではありません。
法人内部に一律に示談はしないという慣例があったり、示談金という非定型的な金銭を受け取ると扱いが面倒である事などが理由です。
法人と示談締結するためには、被疑者が犯した罪と生じた結果とを真摯に受け止め反省し、法人の代表者に粘り強く謝罪の意を示し続けていくことになります。
犯罪をした覚えがないのに容疑をかけられてしまった場合は、被疑者のアリバイやPCのアクセスログを調べるなどして無実の証拠を収集し、主張していきます。