はじめに
執行猶予期間が満了した後に再度犯罪を犯してしまった場合、再び執行猶予を受けられるのかどうか、法律的な観点からの疑問が多く寄せられます。特に、初犯の際に執行猶予を受けた方が、再度の犯罪でどのように扱われるのかは重要なポイントです。この記事では、執行猶予制度の基本から、再犯時の対応、再度の執行猶予が適用される可能性について解説します。
Q&A
Q: 執行猶予期間が無事に満了した後、再度犯罪を犯してしまいました。この場合、再び執行猶予が付く可能性はあるのでしょうか?
A: 執行猶予期間が満了した後に再度の犯罪が発生した場合、再び執行猶予が付く可能性はありますが、その判断は慎重に行われます。執行猶予の有無は、前回の判決や再犯の内容、犯行の悪質性、そして再度の執行猶予が社会的に適切かどうかなど、さまざまな要素を総合的に判断して決定されます。特に、前回の犯罪と同じような行為で再犯した場合や、犯行が悪質であると見なされた場合には、執行猶予が再び付く可能性は低くなります。
執行猶予とは
執行猶予とは、裁判で有罪判決が下された場合でも、その刑の執行を一定の期間見送る制度です。たとえば、懲役2年執行猶予3年の判決が言い渡された場合、3年間の猶予期間中に新たな犯罪を犯さなければ、懲役刑の執行を免れることができます。執行猶予は、初犯であり反省の意思が見られる場合や、刑務所に収監するほどの社会的悪影響がないと判断される場合に適用されることが一般的です。
刑法第25条により、執行猶予が付くためには、「禁錮以上の刑に処せられたことがない」ことが要件とされます。また、裁判所は被告人の年齢、性格、境遇、犯罪の動機や態様、犯行後の情況などを総合的に考慮して判断します。
執行猶予期間満了後の再犯の扱い
執行猶予期間が満了した後の再犯に対する法的扱いは、初犯の場合と異なる点がいくつかあります。執行猶予期間が満了した場合、刑法第27条に基づき、執行猶予の言渡しの効力は失われます。つまり、懲役刑などの刑の執行は行われないことになりますが、前科が消えるわけではありません。
再犯時には、前回の犯罪の内容や執行猶予が満了した後の行動が厳しく評価されます。特に、前科が考慮されるため、量刑が重くなる可能性が高くなります。執行猶予が満了して間もなく再犯した場合や、前回と同種の犯罪を犯した場合には、執行猶予が再度適用される可能性はさらに低くなります。
再度の執行猶予とは
再度の執行猶予とは、既に執行猶予期間を満了した後に再び犯罪を犯した場合に適用される執行猶予のことです。刑法第25条によれば、再犯であっても「禁錮以上の刑に処せられたことがない」状態に該当する場合、裁判所は執行猶予の判断を再度行います。ただし、前科の内容や再犯の状況が重視され、初犯と同じ条件での適用は難しい場合が多いです。
再度の執行猶予が認められるためには、以下の要素が重要となります。
・犯行が軽微であること
・前回の犯罪と異なる種類の犯罪であること
・社会内での更生が見込まれること
これらの要素が揃っていれば、裁判所は再度の執行猶予を検討する可能性がありますが、必ずしも適用されるわけではありません。
再度の執行猶予を得るためのポイント
再度の執行猶予を得るためには、以下のポイントに留意することが重要です。
- 反省の意思を示すこと: 法廷で反省の意思を示すことは非常に重要です。これは、再犯を防ぐための意識を裁判官に示すためです。
- 再犯の動機や背景を説明する: 犯行に至った経緯や動機について、裁判所が納得できる理由がある場合、再度の執行猶予が認められる可能性が高まります。
- 被害者との示談: 被害者がいる場合には、示談交渉を通じて被害者の許しを得ることが重要です。示談が成立していると、裁判官は情状を考慮する可能性があります。
- 家族や社会からの支援: 社会復帰を支援する家族やコミュニティの存在が、再度の執行猶予を得るために有利に働くことがあります。
弁護士に相談するメリット
再度の執行猶予を得るためには、弁護士のサポートが有益です。弁護士は、被告人に代わって裁判所に対し、反省の意思や再犯防止のための計画を具体的に示す役割を果たします。また、被害者との示談交渉や、刑が軽減されるための適切な法的アドバイスも提供します。弁護士に相談することで、再犯時における執行猶予の可能性を高めることが期待できます。
まとめ
執行猶予期間が満了した後に再犯を犯してしまった場合でも、再度執行猶予が付く可能性はありますが、初犯よりも厳格に判断されます。特に、再犯の内容や状況によっては、執行猶予が認められないケースも多く存在します。再度の執行猶予を得るためには、弁護士と共に戦略を立て、慎重に対応することを検討しましょう。
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、再度の執行猶予を再び得るためのサポートをいたします。再犯のリスクに直面した場合は、お早めにご相談をご検討ください。
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