【その他の犯罪】
ストーカー規制法違反
【罪名】
ストーカー行為(ストーカー規制法13条)
禁止命令に違反したストーカー行為(ストーカー規制法14条)
【量刑】
ストーカー行為:
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
禁止命令に違反したストーカー行為:
1年以下の懲役、または100万円以下の罰金
【犯罪の内容】
ストーカー行為とは、恋愛感情またはそれに基づく怨恨の感情により、つきまとい・待ち伏せ・無言電話・FAX・メールなどの行為を反復して行うことを言います(法2条)。
恋愛感情ではなく、たとえば貸金の返還を求めて上記の行為を行うような場合はストーカー規制法の処罰対象にはなりません。
また、反復とは言えない1回限りの行為も対象外です(軽犯罪法違反になります)。
ストーカー規制法は、2つの処罰ルートを規定しています。1つは、ストーカー行為がされ、さらに被害者の告訴がされた場合です(法13条)。この場合は、警告などの段階を踏むことなく、直ちに犯罪が成立します。
もう1つは、告訴がない場合です。この場合、警察は被害者からストーカー行為があるとして相談を受けた後、まず本人に警告を行います(法4条)。この警告に違反して行為が繰り返されると、次は公安委員会からのストーカー行為禁止命令が出されます(法5条)。この禁止命令に違反して更にストーカー行為が行われると、犯罪が成立します(法14条)。
【弁護方針】
男女が付き合っていた時に行った金銭の貸し借りを、別れた後に清算しようとしてつきまといが行われる事はよくあります。そのようなときは、純粋に金銭の清算を求めているだけであることを捜査機関に示し、不起訴処分を求めていきます。
恋愛感情によることに争いがない場合、禁止命令等が出ていない段階でのストーカー行為は、いわゆる親告罪であり、被害者の告訴が取り下げられれば検察官は起訴することができません(法13条2項)。
そのため、被害者と早期に示談締結を行い、告訴を取下げてもらう事によって、確実に不起訴処分を得ることができます。
しかし、ストーカー行為による被害者の不安は相当に大きいものがあり、被害者が示談交渉に応じようとしないことがあります。また、被害者本人が示談に応じる気持ちを見せていても、家族が被害者の身を気遣って反対することもありますし、被害者が未成年である場合は告訴の取下げにあたり保護者の同意も必要になることがあります。
ケースによりますが、このように示談が困難な場合もままあります。このような場合でも、粘り強く交渉を続けていくことが必要になります。
起訴されてしまった場合、被害者やその家族に入念に聞き取りを行い、その不安を払しょくする再犯防止策を採り、裁判所にアピールを行います。例えば、被告人に被害者の自宅や勤務先に二度と近づかないという誓約を行わせたり、再びストーカー行為を繰り返さないよう、被告人の家族に協力・監督を求めます。また、必要に応じてカウンセリングや通院を行うこともあります。
ストーカー規制法違反事件では、被害者との交渉が弁護活動の中心になります。ぜひ交渉に強い弁護士をご選任下さい。