【財産犯罪】
万引き
【罪名】
窃盗罪(刑法235条)
常習累犯窃盗罪(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条)
【量刑】
窃盗罪:
10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
常習累犯窃盗罪:
3年以上の有期懲役
【犯罪の内容】
万引きは、買物をするふりをして、店頭の商品をかすめとることを言います。万引きという表現には軽微な犯罪であるようなイメージもありますが、これは、いわゆる窃盗罪の一種です。繰り返し行うと非常に重く処罰されます。
万引き事件は近年ゆるやかに増加し、過去10年間で2倍に増えています。事件の増加に対応して、柔軟な処罰を可能にするために罰金刑が追加されました。
【弁護方針】
万引き犯として検挙される者の約3分の1が少年ですが、高齢者の再犯者が近年増加傾向にあります。万引きは一度犯してしまうとまた繰り返し行ってしまう依存傾向があります。
「窃盗癖」(クレプトマニア)といい、アメリカでは精神疾患の一つとされます。高齢者、さらに女性の割合が高いことが特徴で、このような方は、物が欲しいという経済的理由より、万引きを行うことによる快感、解放感を得ることを主な動機としています。再犯可能性が高いため、被疑者がもう万引きを繰り返し行さないという再犯の防止策をどれだけ用意できるかが重要です。
被害者と示談締結ができると捜査機関や裁判所に対し大きなアピールになりますが、被害者がチェーン展開しているスーパーマーケットなどである場合、示談には一律応じないという姿勢を取っていることが多く、示談締結は困難なものがあります。謝罪や被害弁償、寄付などにより反省の意思を示していくことになります。
被疑者が少年の場合、少年の友人関係や両親の教育方針などを慎重に検討し、更生可能性があることを示し、早期の身柄解放または少年審判での不処分を求めていきます。
高齢者の窃盗癖のある被疑者の場合、刑事施設に入るよりも家族によるケアが再犯を防ぐ重要な防止策となります。家族の方に同居や監督を求め、処罰よりも治療が必要であることを捜査機関、裁判所に主張・立証していきます。
近年、万引き犯に対し警察へ引き渡さない代わりに被害額以上の賠償を求めるという方針を取っていたスーパーマーケットが問題になりました。このような店側の行為は恐喝罪(刑法249条)にあたります。そのような要求をされた場合、速やかに警察または弁護士にご相談下さい。