【薬物犯罪】
覚せい剤取締法違反
【罪名】
覚せい剤所持・譲渡・譲受(41条の2第1項)
覚せい剤使用(41条の3第1項1号)
その他多数
【量刑】
覚せい剤所持・譲渡・譲受:
10年以下の懲役
営利目的での上記行為:
1年以上の有期懲役
覚せい剤使用:
10年以下の懲役
【犯罪の内容】
覚せい剤(フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン、及びその塩類等、2条1項)を使用、所持することにより成立します。
その物が覚せい剤だとは知らなくても、何らかの違法で有害な薬物であるとの認識があれば、本罪の成立は妨げられません。
【弁護方針】
覚せい剤事件では、被疑者が身柄拘束に耐え切れないなどの場合以外はほとんど逮捕・勾留・されます。そして、起訴までの間に被疑者の尿や差し押さえた覚せい剤等の鑑定が行われます。
この鑑定には時間がかかるため、勾留延長が行われ、結局、最大23日間の拘束となってしまいます。覚せい剤事件は他人を介する犯罪ですので、証拠隠滅の恐れなどから起訴前の段階での身柄解放は困難なものがあります。
また、鑑定結果が陽性と出てしまった場合、不起訴処分を求めていくことは難しいでしょう。
起訴後は、本人が事実を認め反省しており、前科も少ないなどの事情があれば、起訴後の保釈請求が可能です。
保釈を得ることができれば、本人の生活環境を整え、公判でそれを示すことができます。たとえば、両親の監督の元生活する、ダルクから回復支援を受けるなどの準備行為をしていきます。このような更生のための活動が量刑に大きく反映されますので、起訴後の保釈は重要です。
使用罪の裁判では、裁判所は使用した回数、使用していた期間等から、どれだけ薬剤に依存しているか、それを超える薬物脱却の意思があるかを見ます。そこで、更生プログラムの利用や入手先との交友関係を絶つなどの努力をし、裁判所に情状を訴えていきます。
通常、初犯であれば執行猶予が付き、再犯であれば実刑というのが相場です。再犯であっても10年以上前の過ちであれば初犯と同様に考えられることもあります。
なお、覚せい剤などの薬物事件では、場合によりおとり捜査や通信傍受が認められるなど、捜査手法が緩やかに解される傾向があります(最決平成16年7月12日、通信傍受法3条1項)。
そして、行き過ぎた捜査員が限界を超えた違法な捜査を行ってしまうことがあります。そこで、弁護人としては、そのような捜査がされた場合は直ちに抗議し、また、裁判ではそのような捜査に基づく証拠は排除されるべきと主張していきます。