
はじめに
「加害者の保険会社から提示された示談金が低すぎる気がする」
「加害者が反省していないように見える。厳しく処罰してほしい」
人身事故の被害者となった時、身体的な苦痛だけでなく、こうした精神的なストレスにもさらされます。しかし、知識がないまま相手方(特に保険会社)のペースで話を進めてしまうと、本来受け取れるはずの賠償金を受け取れなかったり、加害者が軽い処分で済んでしまったりすることがあります。
ご自身の権利を守り、納得のいく解決を目指すために、弁護士がサポートできることは数多くあります。まずは、その仕組みを知ってください。
被害者のためのQ&A
人身事故の被害者の方からよく寄せられる疑問について、簡潔にお答えします。
Q1. 警察に「診断書」を出せば、犯人は処罰されますか?
捜査は進みますが、処罰の重さはあなたの「意思」次第です。
診断書を提出し、人身事故として受理されれば捜査は行われます。しかし、最終的に検察官が「起訴(裁判にかける)」か「不起訴(お咎めなし)」かを決める際、被害者が「厳重な処罰を望んでいるか(処罰感情)」が重要な判断材料となります。
Q2. 「刑事告訴」と「被害届」は何が違うのですか?
「犯人の処罰を求める意思表示」があるかどうかの違いです。
「被害届」は犯罪の事実を警察に知らせるものですが、「刑事告訴」はそれに加えて「犯人を厳しく処罰してください」と強く求める意思表示です。告訴を行うことで、捜査機関に対してより強い捜査義務を課し、検察官の処分決定に大きな影響を与えることができます。
Q3. 保険会社の提示額にサインしてもいいですか?
サインする前に、必ず弁護士にご相談ください。
保険会社が提示する金額は、彼らの社内基準(任意保険基準)で計算されたものであり、裁判所が認める本来の相場(弁護士基準)よりも大幅に低いケースがほとんどです。一度サイン(示談成立)してしまうと、原則として後から追加請求はできません。
詳細解説1:損害賠償請求(お金の問題)
交通事故の損害賠償額には、実は「3つの基準」が存在することをご存知でしょうか。どの基準を使うかによって、受け取れる金額が2倍、3倍と変わることも珍しくありません。
1. 損害賠償の「3つの基準」
| 基準名 | 特徴 | 金額の目安 |
| 1. 自賠責基準 | 国が定める最低限の補償基準。 | 最も低い |
| 2. 任意保険基準 | 各保険会社が独自に定める社内基準。 | 低い〜中程度 |
| 3. 弁護士基準 | 過去の裁判例に基づく、本来あるべき法的適正額。 | 最も高い |
2. なぜ「弁護士基準」だと増額するのか
保険会社の担当者は、交渉のプロですが、あくまで「自社の支出を抑えること」が仕事です。そのため、被害者ご本人が交渉しても、彼らは「当社の規定ではこれが限界です」と言って、低い基準(任意保険基準)を適用しようとします。
しかし、弁護士が代理人となれば話は変わります。弁護士は「裁判になればこの金額が認められるはずだ」という法的根拠(弁護士基準)を持って交渉します。保険会社も裁判になれば弁護士基準での支払いを命じられることが分かっているため、裁判前の示談段階であっても、金額の増額に応じざるを得なくなるのです。
詳細解説2:刑事告訴と刑事手続き(処罰の問題)
「加害者の態度が許せない」「誠意ある謝罪がない」といった場合、被害者は刑事手続きに関与し、処罰を求めることができます。
1. 人身事故と刑事告訴
人身事故(過失運転致死傷罪)は、被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」です。
しかし、だからといって告訴が無意味なわけではありません。検察官は処分を決める際、「被害者の処罰感情」を重視します。正式に「刑事告訴状」を提出することで、あなたの「許さない」という強い意志が公的に記録され、起訴の可能性を高めたり、量刑を重くさせたりする効果が期待できます。
2. 被害者参加制度
死亡事故や重傷事故などの重大事件では、被害者やご遺族が刑事裁判に直接参加できる「被害者参加制度」があります。
- 法廷に出席できる:傍聴席ではなく、検察官の隣などに座ることができます。
- 被告人に質問できる:事故の状況や心境について、直接被告人(加害者)に質問できます。
- 意見を述べられる:求刑に対する意見や、心情を裁判官に直接訴えることができます。
この制度を利用することで、加害者に被害の実態を直視させ、裁判官に対してより適正な処罰を求めることが可能になります。
弁護士に依頼するメリット
被害者の方が弁護士に依頼することは、単に「賠償金を増やす」以上の意味があります。
メリット1:適正な賠償金の獲得(経済的メリット)
前述の通り、「弁護士基準」での交渉により、慰謝料や逸失利益の大幅な増額が見込めます。特に後遺障害が残るようなケースでは、数百万円〜数千万円の差が生じることもあります。
また、ご自身の保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、実質的な負担ゼロで依頼できるケースが多いため、必ずご確認ください。
メリット2:精神的負担の軽減(精神的メリット)
事故後、怪我の治療を続けながら、加害者側の保険会社と交渉するのは大変なストレスです。相手は交渉のプロであり、冷淡な対応をされることもあります。
弁護士に依頼すれば、保険会社との連絡・交渉はすべて弁護士が代行します。あなたは治療と生活の再建に専念することができます。
メリット3:刑事手続きへの強力なサポート
加害者の刑事処分についても、弁護士は以下のようなサポートを行います。
- 告訴状の作成・提出:警察に受理されやすい告訴状を作成し、同行します。
- 供述調書へのアドバイス:警察での聴取の際、あなたの言い分が正しく反映されるよう助言します。
- 被害者参加の支援:法廷での質問内容の検討や、当日の付き添いを行い、あなたの思いを裁判所に届ける手助けをします。
まとめ
人身事故の被害者になったとき、我慢したり、相手の言いなりになったりする必要はありません。法は、被害者であるあなたの権利を守るためにあります。
- 損害賠償: 保険会社の提示額は最低限。弁護士基準で正当な額を請求しましょう。
- 刑事処分: 加害者の対応に納得がいかない場合は、刑事告訴や被害者参加制度を利用し、厳正な処罰を求めることができます。
- 弁護士の役割: あなたの代理人として、経済的な回復と、精神的な納得の両面をサポートします。
次のステップ
「保険会社から示談案が届いたが、適正か分からない」
「加害者の不誠実な態度が許せず、厳罰を望んでいる」
そのような場合は、示談書にサインをする前に、弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。
私たちは、交通事故の被害者救済に力を入れており、多数の解決実績があります。あなたが受けた傷と苦しみに見合う、正当な解決を勝ち取るために、私たちが全力で戦います。まずは無料相談で、あなたの状況をお聞かせください。
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