万引きで警察に捕まったらどうなる?初犯でも逮捕される3つのケースとは

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はじめに

「万引きくらいで、まさか逮捕まではされないだろう」
「今回が初めてだし、盗んだのも安いものだから、厳重注意で済むはずだ」

多くの方が、万引きという犯罪を軽く考えがちです。しかし、その認識はきわめて危険な間違いです。万引きは、刑法上の「窃盗罪」にあたる、れっきとした犯罪行為です。そして、たとえ初犯であっても、被害額が少額であっても、状況次第では警察に逮捕され、その後の人生が大きく変わってしまう可能性があるのです。

逮捕されれば、会社や学校に行けなくなり、家族に知られ、社会的信用を失います。軽い気持ちで犯した万引きが、取り返しのつかない事態を招くことは、決して珍しいことではありません。

この記事では、万引きで警察に捕まってしまった後の手続きの具体的な流れと、特に「初犯」であるにもかかわらず、逮捕という深刻な事態に至ってしまうのはどのようなケースなのか、その3つのポイントについて解説します。

Q&A

Q1. 捕まったのは今回が初めてで、盗んだのも数百円のお菓子です。それでも、本当に逮捕されることがあるのですか?

はい、可能性はゼロではありません。たしかに、初犯で被害額も数百円と極めて少額であれば、警察限りで事件を終結させる「微罪処分」で済むことも多いです。しかし、例えばあなたが犯行を頑なに否認したり、店員さんに対して暴言を吐いたり、あるいは住所不定であったりすれば、たとえ被害額が数百円でも、逮捕の法的要件である「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断され、逮捕される可能性は十分にあります。逮捕されるかどうかは、被害額だけで決まるわけではないのです。

Q2. 警察で「微罪処分」になれば、前科も前歴もつかない、完全に白紙の状態に戻れるのですか?

いいえ、少し違います。「前科」とは、刑事裁判で有罪判決が確定した記録のことであり、微罪処分は裁判にかからないため、前科はつきません。しかし、「前歴」とは、犯罪の容疑で捜査の対象となった記録のことを指します。微罪処分であっても、警察で事情聴取を受け、指紋を採取されるなど、捜査の対象となった事実は記録として残ります。これが「前歴」です。この前歴は、次にまた何か事件を起こしてしまった場合に、不利な事情として考慮される可能性があります。

Q3. 警察で事情聴取された後、逮捕されずに家に帰してもらえました。これは「在宅事件」というものらしいですが、もう安心してもいいですか?

決して安心はできません。逮捕されなかったのは、あくまで「身柄を拘束して捜査する必要まではない」と警察が判断しただけであり、事件が終了したわけではありません。警察や検察の捜査は水面下で続いており、後日、再び呼び出しがあって取り調べを受けます。そして、捜査の結果、検察官が起訴すれば、刑事裁判になり、前科がつく可能性は十分にあります。在宅事件になった場合も、不起訴処分を勝ち取るために、弁護士を通じて被害店舗との示談交渉などを進める必要があります。

解説

万引き発覚!その後の運命を分ける3つのルート

店舗で万引きが発覚し、従業員や万引きGメンに身柄を確保されると、通常は店舗の事務所(バックヤード)に連れて行かれます。そして、お店の判断で警察に通報されると、あなたの運命は、主に以下の3つのルートに分かれることになります。

  • ルートA:微罪処分(警察限りで終了・即日帰宅)
  • ルートB:逮捕(身柄拘束され、捜査が本格化)
  • ルートC:在宅事件(逮捕はされないが、捜査は継続)

ケース別に見る、その後の手続きと注意点

ルートA:微罪処分

これは、犯罪捜査規範第198条に基づく警察の内部的な手続きです。

どのような場合に?

以下の全ての条件を満たすような、きわめて軽微な事案に限られます。

  • 被害額が極めて少額(一般に2万円以下が目安)
  • 初犯である
  • 犯行を素直に認め、深く反省している
  • 身元が確かで、家族などの監督(身元引受人)が見込める
  • 被害店舗が、処罰を望んでいない(被害弁償が済んでいるなど)

手続きは?

検察庁に事件が送られることなく、その日のうちに警察署から帰宅できます。ただし、前述の通り「前歴」は残ります。

ルートB:逮捕

どのような場合に?

後述する「初犯でも逮捕されるケース」に該当する場合です。逮捕されると、以下の厳しい時間制限の中で手続きが進みます。

  • 逮捕後48時間以内:警察による取り調べ → 検察庁へ送致
  • 送致後24時間以内:検察官による取り調べ → 勾留請求の判断
  • 勾留決定後:原則10日間、最大で20日間の身柄拘束

この間に、会社や学校、家庭生活に深刻な影響が及ぶことになります。

ルートC:在宅事件

どのような場合に?

微罪処分とするほどではないが、逮捕の要件である「逃亡や証拠隠滅のおそれ」まではない、と判断された場合です。

手続きは?

その日は家に帰されますが、後日、警察や検察から電話で呼び出しがあり、出頭して取り調べを受けます。捜査には厳格な時間制限がないため、最終的な処分が決まるまで数ヶ月かかることもあります。起訴されれば前科がつくリスクは、逮捕された場合と何ら変わりません。

「初犯だから大丈夫」は通用しない!逮捕される3つのケース

警察が逮捕に踏み切るかどうかの判断は、「この人物を釈放した場合、逃亡したり、証拠を隠滅したりするおそれがあるか」というリスク評価に基づいています。初犯であっても、以下のケースに該当すると、そのリスクが高いと判断され、逮捕に至る可能性が高まります。

ケース ① :犯行態様が悪質、または被害額が大きい

犯行のやり方が悪質である場合、「常習性が高く、再び犯行に及ぶ可能性がある」と見なされ、捜査に非協力的になる(=広い意味での逃亡や証拠隠滅のおそれ)と判断されやすくなります。

  • 高額な被害額
    一般に数万円以上になると、逮捕のリスクが高まります。
  • 悪質な態様
    • 仲間と役割分担して行う「組織的な万引き」
    • 転売して利益を得る「転売目的の万引き」
    • 発覚時に店員に暴行や脅迫を加える。これは単なる窃盗ではなく、「事後強盗罪」(刑法第238条)という、窃盗とは比較にならない重罪(5年以上の拘禁刑)に発展し、ほぼ確実に逮捕されます。店員を軽く突き飛ばしただけでも成立する可能性があるため、絶対に物理的な抵抗をしてはいけません。

ケース ② :犯行後の態度が著しく悪い

犯行後のあなたの態度は、警察官に「この人物は反省しておらず、証拠隠滅や逃亡を図るかもしれない」という疑念を抱かせる、直接的な原因となります。

  • 犯行の否認
    防犯カメラに明確に映っているにもかかわらず、「盗んでいない」と嘘をつき続ける。
  • 反省の情がない
    店員や警察官に対し、ふてぶてしい態度をとったり、暴言を吐いたりする。
  • 逃走
    店の外へ逃げようとする、あるいはその場で逃走し、後日特定された場合。

ケース ③ :身元が不確かである

警察が「この人物は、釈放しても、きちんとその後の捜査に応じるだろうか」という点に不安を感じた場合、逃亡のおそれが高いと判断し、逮捕に踏み切ります。

  • 住所不定、無職
    定まった住居や職業がない場合、逃亡のおそれが高いと判断されます。
  • 身元照会への非協力
    警察署で、氏名や住所、連絡先などを偽ったり、黙秘したりして、身元の確認に協力しない。
  • 身元引受人がいない
    家族など、監督を約束してくれる身元引受人がいない、あるいは連絡がつかない場合。

弁護士に相談するメリット

  • 逮捕前の弁護活動
    警察署に駆けつけ、あなたに代わって被害店舗とすぐに示談交渉を開始します。そして、身元引受人となり、「弁護士が責任をもって監督するので、逃亡や証拠隠滅のおそれはありません」と、逮捕の必要性がないことを警察に強く主張します。これにより、逮捕を回避し、微罪処分や在宅事件での処理を目指します。
  • 逮捕後の弁護活動
    万が一逮捕されてしまった場合でも、直ちに接見に行き、取り調べへの対応をアドバイスします。同時に、被害店舗との示談交渉を急ぎ、検察官や裁判官に勾留の必要性がないことを訴え、早期の身柄解放を実現します。
  • 円滑な示談交渉の実現
    逮捕を回避する上でも、最終的に不起訴処分を勝ち取る上でも、最も重要なのが被害店舗との示談です。弁護士が代理人として交渉することで、お店側も冷静に対応してくれることが多く、円満な解決につながりやすくなります。

まとめ

万引きは、たとえ初犯であっても、「犯行態様」「犯行後の態度」「身元の確かさ」という3つの点から、逮捕されるリスクが十分にある犯罪です。そして、一度逮捕されれば、長期間の身柄拘束によって、あなたの社会生活は深刻なダメージを受けます。

万引きで警察に捕まってしまったら、その場で真摯に謝罪し、誠実な態度で取り調べに応じるとともに、一刻も早く弁護士に連絡してください。弁護士が迅速に被害店舗との示談交渉を始めることが、逮捕という事態を回避し、あなたの日常を守るための方法なのです。

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