犯罪歴・前科が量刑に与える影響

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はじめに

刑事事件で被告人の量刑を決める際、前科(過去の有罪判決)や犯罪歴が強く影響するケースが多いです。初犯と複数回の再犯では、同じ事件内容でも厳罰化される傾向が顕著であり、捜査段階でも「常習性」の有無が重視されます。前科があることで、捜査機関や裁判所は被告人の再犯リスクを高く見積もり、逮捕や勾留、量刑をより厳しい方向へ持っていく場合もあるのです。

本稿では、犯罪歴や前科が量刑にどう影響するかを中心に、再犯扱いの際の注意点や前科が加重されるメカニズム、再度起きた事件で量刑を軽くする方策などを解説します。前科があると絶対に実刑になるというわけではありませんが、そのハードルが高まるのは確かであり、適切な弁護活動や示談が重要です。

Q&A

Q1:前科があると、起訴されやすいって本当ですか?

前科の有無は、検察官が起訴・不起訴を判断する際に考慮要素のひとつです。再犯性が高いと判断されれば、被害が軽微でも起訴へ踏み切られる可能性が上がります。逆に初犯で誠意ある対応をしていれば、起訴猶予となることも多いです。

Q2:前科があると、具体的にどのくらい刑が重くなりますか?

一概に数値化は難しいですが、裁判官が再犯リスクを高く見積もるので、懲役刑の期間が長くなる執行猶予がつきにくい罰金額が高くなるなどの影響が出やすくなります。特に同種の犯罪を繰り返している場合、常習者として扱われる例が多いです。

Q3:前科がある場合でも示談が成立したら軽くなるのでしょうか?

はい。前科があっても示談成立は強力な情状要素です。被害者の処罰感情を和らげ、検察官や裁判官に対して「社会的に解決が進んでいる」とアピールできます。結果として実刑を免れ、執行猶予付き判決を勝ち取る可能性が上がります。

Q4:前の執行猶予期間が満了していれば、今回の量刑には影響しないのですか?

執行猶予が満了したとしても、前科は前科として残ります。つまり、過去の有罪判決の事実自体は消えず、次回の量刑で前科として考慮される可能性があります。ただし、満了後の時間経過が長いほど、裁判官が「再犯リスクがやや低い」と評価することもあり得ます。

Q5:交通違反の前科があると、別の暴行事件で量刑に影響しますか?

異種犯罪でも、前科があるという事実自体が再犯性の一端として考慮されることはあります。ただし、同種犯罪(暴力事犯の前科)に比べれば影響は相対的に小さいことが多いです。とはいえ、裁判官によっては「法を軽視する態度がある」として重く見る場合もあり得ますので油断はできません。

Q6:過去に罰金刑を受けただけでも前科として扱われますか?

はい、罰金刑も有罪判決であるため、前科に該当します。略式罰金でも同様で、刑事確定記録に残ります。

Q7:少年事件で保護処分を受けたことは成人後の量刑に影響しますか?

少年時代の保護処分は前科ではありません。しかし、成人後に再犯した場合、その家庭裁判所での処分歴が捜査機関や裁判所の量刑判断で考慮されることはあります。とくに同種犯罪を繰り返すと「更生が難しい」と見られがちです。

Q8:薬物事件で何度も逮捕されている人は実刑を免れないのですか?

覚醒剤や大麻などの薬物事件で再犯すると、常習性が強く疑われ厳罰化されやすいのは事実です。示談が難しい分野でもあるため、弁護士が再発防止策(治療プログラム受講など)を示しても、実刑が選択される可能性は高いです。とはいえ初犯や短期間の使用にとどまる場合、執行猶予が付くケースもありえます。

Q9:前科前歴がある人を助ける弁護活動とは具体的に何ですか?

弁護士が被告人の更生意欲や再犯防止策を具体化し、裁判官に「今度こそ更生できる環境がある」と納得させる情状弁護が中心です。専門カウンセリングや家族の監視体制、保護観察所との連携、職場の継続雇用などを整え、軽減を目指します。

Q10:検察官が求刑する際にも、前科は考慮されるのでしょうか?

はい。検察官は求刑を決めるとき、被告人の前科や常習性を「厳重に立件すべき事情」として扱い、求刑を重くする傾向があります。裁判所の最終判断でも、検察官の求刑内容が一つの参考になり得ます。

解説

前科・再犯の考え方

  1. 前科の存在
    有罪判決が確定した事例が一度でもあれば、被告人には「前科あり」。
  2. 累犯
    同種または別種の犯罪で再び有罪となる場合、再犯として量刑が上乗せされる可能性が高い。
  3. 対象期間
    累犯規定の適用には前刑の執行が終了または免除後○年以内という要件がある場合もある(刑法56条など)。

捜査機関・裁判所の視点

警察や検察は、前科がある被疑者を捜査する際、「常習性がある」「反省していない」と判断し、逮捕や勾留を強化することが多いです。裁判所でも、「過去に同様の犯罪を繰り返している」「執行猶予中にもかかわらず再犯した」などの事実は厳しい量刑につながりやすいと言えます。

実務での量刑事例

  • 初犯の傷害事件:示談があれば罰金刑や執行猶予になる可能性大。
  • 再犯の傷害事件(暴力前科あり):実刑や長期懲役のリスクが高い。
  • 薬物犯罪(初犯):執行猶予付き判決が多いが、再犯では実刑確率急上昇。
  • 財産犯:被害弁償や示談で量刑軽減。ただし累犯の場合は懲役数年に上がる傾向。

再犯における量刑加重

  1. 累犯(刑法57条ほか)
    前に有罪判決を受けて刑の執行を終えてから一定期間内に同種または別種犯罪をした場合、法定刑が加重される。
  2. 常習犯(刑法60条など)
    繰り返し犯行を行っていると認定されれば、特別の加重規定が適用される場合がある(常習累犯盗、常習累犯暴行など)。

更生のための取り組み

  • 飲酒運転再犯:アルコール依存治療や運転を制限する環境づくり
  • 薬物再犯:専門医療機関・リハビリ施設での治療プログラム受講
  • 暴力事件再犯:カウンセリング、DV防止プログラム、家族の監視体制

弁護士が公判でこれらの取り組みを示すことで、「再犯を防げる」と裁判所が判断すれば、実刑を回避または短縮する可能性があります。

弁護士に相談するメリット

示談・反省を通じた量刑軽減

前科がある場合でも、被害弁償謝罪を誠実に行い、被害者の宥恕(ゆうじょ)を得ることで、執行猶予や罰金刑を勝ち取るチャンスは残されています。弁護士が被害者との交渉を円滑に進め、裁判官に対する情状立証を強化します。

累犯適用の阻止

累犯条件に該当するか否かは、前刑の執行終了時期や罪名など法的に複雑な面があります。弁護士が法解釈や証拠をチェックし、累犯の成立要件を満たさないと主張できる場合は強く争い、量刑加重を防ぐことが可能です。

更生プログラムの活用

再犯率が高い事件(薬物、DVなど)では、弁護士が専門治療やカウンセリングを斡旋し、裁判官に「被告人が同じ過ちを繰り返さない環境作り」を積極的に示す。前科があっても、今後は更生できるという説得が量刑を大きく左右します。

量刑の相場と適切な戦略

弁護士は過去の判例や量刑データを基に、前科がある人が再犯した場合の相場を参考にしながら、より軽い刑を求める方策を設計。事案によっては無罪主張よりも情状弁護に注力するのが現実的なケースもあるでしょう。

まとめ

犯罪歴や前科が量刑に与える影響は大きく、とりわけ同種犯罪を繰り返す常習犯として扱われれば、捜査段階から起訴・量刑まですべてのフェーズで厳しい扱いを受けやすいのが現実です。しかし、前科があっても適切な示談や情状弁護、再発防止策を整えることで、実刑回避執行猶予獲得の可能性は残されています。以下のポイントを押さえて、弁護士と連携しながら最善策を検討することが重要です。

  1. 前科があると再犯リスクを高く見積もられる
    逮捕・勾留・起訴・量刑すべてで不利。
  2. 示談や反省文が有効
    被害者の処罰感情を緩和し、裁判官の心証を良くする要素に。
  3. 累犯や常習犯扱いに注意
    特定要件を満たせば法定刑が加重され、実刑率が上昇。
  4. 再犯防止策の具体化
    カウンセリングや専門治療で「更生可能性」をアピール。
  5. 弁護士が必須
    前科がある場合でも軽減や執行猶予を狙うため、示談交渉・情状立証のノウハウが欠かせない。

もし過去に前科があり、再度捜査や起訴の危機に直面している方は、弁護士法人長瀬総合法律事務所へお早めにご相談ください。示談の成立や更生プランの提示などを総合的にサポートし、できる限り軽い刑を求めるための弁護活動を全力で行います。


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