はじめに
刑事事件で逮捕・勾留されてしまった場合、身柄を解放してもらうための手続きとして「釈放」や「保釈」があります。しかし、これらの手続きについて一般の方々には難解な部分が多く、どのような手続きを踏めばよいのか、どのタイミングで申請するのが有利なのかなど、理解するのは容易ではありません。ここでは、刑事事件における釈放や保釈の概要、手続きの流れやそれぞれのポイントについて説明します。
よくある質問と回答
Q1:身内や知人が逮捕されました。すぐに釈放してもらうことは可能ですか?
A1:逮捕された直後は釈放される可能性がありますが、その判断は警察や検察の権限に委ねられます。早い段階で刑事事件に詳しい弁護士に依頼し、釈放を求める働きかけを行うことが重要です。弁護士は検察官や裁判官に対して釈放を求めるための証拠や事情を伝え、釈放の可能性を高めることができます。
Q2:起訴後の保釈申請は、どのような流れになりますか?
A2:起訴後の釈放手続きとしては、主に「保釈制度」が用いられます。弁護士が裁判所に保釈を請求し、裁判所がその請求を認めれば、保釈保証金(いわゆる保釈金)を納付することで釈放されます。保釈が認められるためには、被告人が逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを証明する必要があり、これを説得的に裁判所へ主張することが求められます。
Q3:釈放や保釈を依頼することによって、逮捕された事実が周りの人に知られてしまうリスクはありますか?
A3:釈放や保釈が認められることによって、早期に身体拘束が解かれれば、周囲に逮捕の事実が知られるリスクを減らせる場合があります。特に、勾留の長期化によって仕事や学業を続けられなくなると、会社や学校に通達がいくことも考えられます。弁護士に依頼し、早期の釈放・保釈を目指すことは、こうしたリスク軽減にもつながります。
釈放の種類と手続きの流れ
釈放とは
釈放とは、適法な事由に基づき、刑事施設に収容されている在監者の身柄拘束を解くことをいいます。逮捕・勾留されてしまうと、会社や学校へ通うことができなくなり、解雇や退学のリスクが高まります。釈放されればこれらのリスクを回避し、早期の社会復帰を図ることが可能です。
起訴前の釈放の流れ
1.警察による送致後24時間以内の釈放
逮捕後、警察は48時間以内に容疑者を検察官に送致します。検察官は受け取った後、24時間以内に勾留の必要性を判断します。この段階までに弁護士が活動し、検察官へ釈放を求めることで、早期の釈放を実現できる可能性があります。
2.裁判官による勾留決定前の釈放
検察官が勾留を請求した場合、裁判官は容疑者との面談(勾留質問)を行い、勾留するかを最終的に判断します。この時点で弁護士が裁判官に働きかけを行い、釈放を求めることが可能です。裁判官が勾留を却下すれば、釈放が実現します。
3.勾留決定後の準抗告による釈放
裁判官が勾留を決定した場合、弁護士は準抗告を申立て、別の裁判官による合議体で勾留の是非を審査してもらうことができます。準抗告が認められれば、勾留決定は覆され、釈放が実現します。
4.勾留取消請求や勾留執行停止による釈放
勾留決定後でも、弁護士は「勾留取消請求」や「勾留執行停止」の申立てを行うことで、釈放を目指すことができます。例えば、治療入院や重大な災害などの事由があれば、一時的に勾留を解くことが可能です。
起訴後の釈放手続き:保釈制度
起訴後の釈放手続きとして「保釈」があります。保釈は、保釈保証金の納付を条件に、被告人の身体拘束を解く手続きです。保釈が認められれば、被告人は住居などの制限のもとで釈放されます。
保釈のメリット
- 会社や学校への復帰が可能
保釈されることで、被告人は会社や学校に戻ることができます。これにより、社会的な信用を失うリスクを軽減できます。 - 裁判準備の時間を確保
自由な状態で弁護士と打ち合わせを行い、示談や裁判準備を十分に行うことができます。 - 家族との接触が可能
被告人が家族とともに裁判を準備できるため、精神的な安定を図ることができます。
保釈が認められる条件と流れ
1. 保釈が認められる条件
保釈が認められるためには、以下の3点を満たすことが重要です。
・被告人に証拠隠滅のおそれがないこと
・被告人が被害者や関係者に接触しないこと
・被告人が逃亡するおそれがないこと
2.保釈請求の流れ
保釈請求は、弁護人弁護士によって裁判所に申請され、裁判所がそれを判断します。一般的に、保釈が認められるか否かの判断は2~3日かかります(週末をはさむ場合は4~5日)。
3.保釈金の納付
裁判所が保釈を認めた場合、保釈金を納付することが条件となります。保釈金は事件の性質や被告人の経済状況に応じて決定され、通常は200万円前後です。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで、逮捕・勾留された状況でも迅速に釈放や保釈を目指せる可能性が高まります。弁護士は、法的な知識と経験を活かし、適切な時期に釈放・保釈を求めるための活動を行います。特に、以下の点で弁護士に相談することをお勧めします。
- 法的手続きの知識と経験を活用
刑事事件の手続きは複雑であり、一般の方が適切に対処することは困難です。弁護士は法的知識を活かし、適切な対応を行います。 - 釈放や保釈のタイミングを逃さない
釈放や保釈はタイミングが重要です。弁護士は手続きのタイミングを見極め、速やかに行動を起こすことができます。
まとめ
釈放や保釈は、逮捕・勾留された身柄を解放するための重要な手続きです。早期に弁護士に依頼し、適切な対応を行うことで、会社や学校への復帰や裁判準備を有利に進めることができます。刑事事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。
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