被害者の承諾があっても犯罪にあたる?

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はじめに

Q:友人からのお願いでケガをさせる行為も、本人が同意していれば問題ないでしょうか?

A:被害者が承諾している場合でも、一定の行為には刑事責任が問われる可能性があります。具体的な判断には、承諾が本当に本人の意思に基づくものか、また行為の動機や手段が適正かが問われます。たとえば、金銭目的でケガをさせる行為などは、承諾があったとしても違法行為とされることがあります。また、16歳未満の未成年に対する行為や、生命の危機が伴う行為に関しては、同意があったとしても法律違反とされるケースがあります。このように、同意があるからといって全ての行為が許されるわけではありません。

1.被害者の承諾とは?

被害者の承諾とは、法律が守るべき利益を持つ被害者が、その利益を侵害する行為に同意することを指します。例えば、漫才の場面での軽い叩きや、スポーツでの接触プレーなど、明示的な承諾がある場合には、通常は犯罪行為とみなされません。

ただし、この「承諾」が刑事責任を免れるためには、被害者自身がそのリスクや内容を十分理解したうえで同意していることが重要です。承諾の有効性が認められるためには、被害者が保護されるべき法的利益を放棄する意志と能力を持っているかが問われます。

2.同意の真意と法的能力の判断

被害者の承諾が法的に有効とみなされるには、真意に基づく承諾であることが条件となります。たとえば、脅迫によって承諾を得た場合や、事実を誤解して同意した場合などは、その承諾が無効となる可能性が高いといえます。

また、未成年者や意思判断が難しい人からの承諾は無効とされやすいです。未成年者の場合、その年齢や知的発達の度合いによって、リスクの理解が不十分とみなされるため、法律的には彼らからの同意は不適切と判断されます。

3.承諾があっても罪に問われるケース

被害者が同意していても、特定の犯罪は成立する可能性があります。たとえば、生命に関わる行為や重大なケガを伴う行為の場合、被害者の同意があっても違法性が否定されないことがあります。

具体例として、「保険金詐取目的でわざと事故を起こす」といった場合には、傷害罪が成立します。これは、行為の動機や目的が反社会的であるとされ、社会通念上も容認されないと判断されるためです。また、暴力団などの反社会的勢力によるケガの指示なども、承諾があったとしても犯罪として扱われます。

4.被害者の同意が及ばない行為の種類

被害者が同意しても成立する犯罪の代表例として、以下が挙げられます。

  • 未成年者への性的行為:16歳未満の未成年者に対しての不同意性交等罪は、被害者の同意があっても成立する犯罪です(刑法第177条)。
  • 同意殺人:被害者の同意がある場合でも、殺人行為は「同意殺人罪」として成立します(刑法第202条)。

これは、法が未成年者や生命に対する承諾を特に厳格に扱い、安易に同意が有効になることで不当な結果が生じないようにしているからです。

5.弁護士に相談するメリット

刑事事件における被害者の承諾問題は、法的な判断が非常に難しく、ケースバイケースで異なるため、専門家の意見が重要です。弁護士に相談することで以下のようなメリットがあります。

  • 事実関係の整理と法的評価
    客観的な視点で事案を分析し、法的なリスクを見極められます。
  • 法的手続きの適切なサポート
    承諾が適切に得られているか、また犯罪が成立するかどうかなど、複雑な法的問題について具体的に助言を受けることが可能です。
  • 裁判に備えた証拠準備や法廷での弁護活動
    専門家が法廷での弁護活動を行い、有利な展開を目指すことができます。

6.まとめと当事務所のサポート

被害者の同意があるからといって、すべての行為が合法とは限りません。実際には、動機や目的、行為の内容に基づき、犯罪として処罰される可能性が残ります。不適切な行動が犯罪とされることを防ぐためにも、十分に慎重な判断が必要です。事件に巻き込まれてしまった方や、被害者からの同意があった場合の対処方法について不安がある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

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