はじめに
一般の方にとって、もし自身や家族が書類送検された場合、その意味や対応方法について不安に感じることが多いでしょう。今回は、書類送検とは何か、その後の流れや逮捕との違い、そしてどのように対応すべきかについて、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説します。
Q&A
Q: 書類送検とはどのような手続きですか?
A: 書類送検とは、警察が捜査した事件の記録を検察庁に送る手続きを指します。容疑者の身柄が拘束されないまま書類だけが送られるため、通常は「在宅事件」として扱われます。逮捕されてから身柄が検察に送られる「身柄送検」とは異なり、書類送検は身柄が拘束されないため、在宅のまま捜査が進行する点が特徴です。
書類送検とは
書類送検とは、警察が捜査した事件に関する書類を検察庁に送付する手続きです。事件の記録が書類として検察に送られるため、容疑者の身柄が拘束されないことが特徴です。この手続きは、容疑者が逮捕されていない「在宅事件」でよく見られます。
書類送検の目的
書類送検の目的は、検察が事件を詳細に審査し、起訴するかどうかを判断するための資料を提供することにあります。警察が作成した捜査報告書や証拠品が含まれ、検察はこれを基に、事件の内容や証拠の信憑性を判断します。
書類送検の流れ
書類送検が行われた後、事件は次のような流れで進みます。
1. 書類送付
警察が事件に関する書類を検察庁に送付します。この段階では、容疑者の身柄は拘束されていません。
2. 検察による審査
検察官が送付された書類を審査し、起訴するかどうかを判断します。起訴するためには、証拠が十分であることが必要です。
3. 起訴または不起訴の決定
検察官は、証拠が十分と判断すれば起訴を決定し、裁判に進みます。証拠が不十分であったり、他の事情がある場合には不起訴とされます。
4. 裁判の開始
起訴された場合、正式な裁判が行われ、有罪か無罪かが判断されます。略式起訴の場合、書面審査のみで罰金刑が科されることもあります。
書類送検と逮捕の違い
書類送検と逮捕は、捜査手続きにおいて異なる役割を持っています。
書類送検
書類送検は、容疑者の身柄を拘束せずに捜査を進める「在宅事件」で行われることが一般的です。逮捕を伴わないため、容疑者は通常の生活を続けながら捜査が進行します。
逮捕
逮捕は、容疑者の身柄を拘束し、捜査を進める「身柄事件」で行われます。逮捕後、容疑者の身柄と共に事件書類が検察に送られます。逮捕は書類送検に先立つ手続きであり、容疑者の逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合に行われます。
主な違い
- 身柄の拘束: 書類送検では拘束されず、逮捕では拘束されます。
- 捜査の進行方法: 書類送検は在宅で、逮捕は身柄拘束のもとで進行します。
書類送検のチェックポイント
書類送検された場合、適切な対応を取るためにはいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
1. 検察からの呼び出しに誠実に応じる
検察から呼び出しがあった場合、誠実に応じることが求められます。無視したり、呼び出しを遅らせたりすると、印象が悪くなり、最悪の場合逮捕されることもあります。できるだけ早期に対応し、検察の質問に正確に答えるようにしましょう。
2. 不起訴を目指して示談交渉を行う
被害者がいる場合、示談交渉を成功させることで不起訴の可能性を高めることができます。示談が成立すれば、検察官は被害者の処罰意思を考慮し、起訴を見送る場合があります。早期に示談交渉を開始し、被害者との和解を目指すことが重要です。
3. 起訴に備える
もし起訴されることが避けられない場合、裁判に向けた準備が必要です。証拠を集め、弁護活動をしっかりと行うことで、少しでも有利な判決を引き出す可能性が高まります。また、略式起訴による罰金刑が予想される場合でも、その金額に備えておくことが重要です。
4. 会社に知られるリスクを最小限にする
書類送検が会社に知られる可能性は低いものの、ゼロではありません。特に、実名報道や警察の捜査が会社に及んだ場合、事実が漏れる可能性があります。このため、会社への対応も考慮した行動が求められます。
弁護士に相談するメリット
書類送検後の対応について、弁護士に相談することには多くのメリットがあります。以下にそのいくつかを挙げます。
1. 専門知識による適切なアドバイス
刑事事件に精通した弁護士は、書類送検の手続きや起訴の可能性について的確なアドバイスを提供します。これにより、適切な対応ができ、リスクを最小限に抑えることが可能です。
2. 示談交渉のサポート
示談交渉は専門的な知識と経験が必要です。弁護士が介入することで、被害者との示談がスムーズに進み、不起訴を獲得できる可能性が高まります。
3. 裁判対策の準備
起訴された場合、裁判に向けた準備が重要です。弁護士は証拠の収集や証人の手配など、裁判を有利に進めるためのサポートを行います。
4. 会社への対応
会社に対してどのように対応すべきかについても、弁護士からアドバイスを受けることで、問題を最小限に抑えることができます。
まとめ
書類送検は、警察が事件の記録を検察に送る手続きであり、身柄を拘束せずに進行する点で逮捕とは異なります。書類送検が行われた場合には、適切に対応することが重要で、検察からの呼び出しに誠実に応じ、示談交渉を進めることが有効です。また、起訴された場合には裁判に備える準備が必要です。弁護士に相談することで、書類送検後の手続きを円滑に進め、リスクを最小限に抑えることができます。
書類送検の手続きに不安を感じる場合や、具体的な対応策について知りたい場合は、弁護士法人長瀬総合法律事務所までお気軽にご相談ください。
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